Johann Sebastian Bach
Chaconne from Partita No.2 for solo violin in D minor, BWV1004
スペインに起源を持つ古い舞曲であり、壮大な主題とそれに基づく30の変奏から構成されている、
「無伴奏ヴァイオリンのためのソナタとパルティータ」の中核をなす作品。
オーストリアに留学していた時分に聞いた、何気ない会話の中でポルトガル人ギタリストが発した
『シャコンヌを聴くこと、演奏することは、長い旅をしているようなもの。』
という言葉が、今でも強く印象に残っている。
このシャコンヌはバッハが創った渾身の作品であり、すべての音楽家にとって、西洋音楽史上にそびえ立つ金字塔だ。
Béla Bartók
バルトークは1881年に生まれ、4歳で作曲、5歳でピアノを弾き初め神童と称えられた。
音楽家として認められつつあった17歳のバルトークがライフワークとしたのが「真のハン
ガリー音楽」を確立することであった。彼はハンガリー各地の農村をまわって、民衆の間に伝わる音楽を自分の耳で聴き楽譜に記しつづけ、
そこで集めた旋律を元にハンガリー特有の音楽表現を取り入れて作曲をしていった。
難解ながら、壮大さと雄大を実感できるバルトークの音楽。彼の音楽は聴いている人に安らぎを与えるというよりも、
何とも言えぬ刺激を浴びている感覚にとらわれるが、
それは決して不快ではなく、聴くごとに味わいが深まっていくという不思議な魅力がある。
このソナタは彼の最晩年、ハンガリーを離れアメリカに在住していた時の作品。
曲の随所に故郷であるハンガリーへの想いを感じる曲となっている。
Heinrich Ignaz Biber
ビーバーは17世紀後半にオーストリアで活躍した音楽家。
また当代随一のヴァイオリニストと言われていた。この曲は1676年頃に
出版された『聖母マリアの生涯の秘蹟を讃えた大きな曲集』の最後に加えられ、
”守護天使のパッサカリア”と呼ばれている。パッサカリアというのはスペイン起源のゆっくりし
た舞曲で、「ソ-ファ-ミ-レ」というテーマの基に、深淵な世界を築く。
Sergei Prokofiev
幼少期から独学でピアノ演奏や作曲をしたプロコフィエフは、11歳になり同郷の先輩音楽家レインゴリト・グリエールの元で勉強を開始した。
その師の元様々なことを吸収していくが特に彼の心を魅了したのは、グリエールのヴァイオリン演奏だった。
この作品は「才能ある子供たちのヴァイオリン斉奏用」に書かれた曲だが、ほとんどの場合独奏で演奏される。
象の行進があったり妖精がうたを歌ったり…おとぎ話のようなイメージが多く浮かぶ魅力的な一曲である。
実際プロコフィエフはディズニーによってアニメーション化もされている「ピーターと狼」や「ロミオとジュリエット」をはじめ、
ストーリーに音楽を付けることに大変長けた作曲家なので、
ひょっとしたら若い人たちが楽しんでくれるような作品にしたいと思いながらこの音楽を作ったのかもしれない。